RPAの目的の設定をミスった話

働き方改革の有効なツールとして、RPAがもてはやされていますが、皆さんの会社では、どういうきっかけで導入したでしょうか。
もしくは導入検討されている会社はいかがでしょうか?

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RPAは魔法のツールではなかった

結論としては、「期待しているほどの効果はなかった」です。

この一言だけだと、誤解を招きそうですが、いろいろ思うところがあるので、補足をしつつ説明しますね。

その前に、私が担当するまでの経緯を軽く。

流行りのツールだから導入

経営陣が、グループ会社の連絡会みたいなもので入れ知恵されて、よくわからないままトップダウンで導入を検討しました。

そう、導入が目的になっていました。

導入することが目的となる会議
導入することが目的となる会議

PoCがポンコツ

実現性や具体性、費用と効果を検討すると思いますが、ベンダーの売り文句に乗せられ、また経営陣のご機嫌を取るため、適用範囲を見誤ってます。

これは担当者の知識や経験もあると思いますが、1人をPoCを実施しており、間違った部分への指摘を誰もできない状況でした。

経営陣も、「ほら、言った通りだ!効果あるだろ!導入するんだ!」という。ご機嫌で予算も下りるという。予算の取り方の勉強にはなりますね。

PMが経験不足

PoC担当者がそのままPMとして進めるわけですが、システム導入が素人です。

リソースの管理ができていないこと、スケジュールや課題も管理できていないこと、経営陣のご機嫌を取るため、虚偽の報告をしていること。

そこから泥沼にはまっていきます。

虚偽の報告
虚偽の報告

うちの会社の場合は、PMなどは役職がある方が着きます。経験は関係ありません。こういう失敗の経験は重要ですが、次に生かされることがないのが残念です。

担当者のアサイン

そんなこともあって、私の部下がアサインされました。その結果、紆余曲折があり辞めて行きました(笑)

そんな流れで私が担当することになりました。

原因1 適用範囲を見誤っていた

通常、ROIを見るために、適用範囲を調査すると思いますが、簡単に言うとシステムの構成と現実の業務にギャップがありました。

具体的には、RPAをサーバに入れて構築していたのですが、現場のアプリがサーバで稼働しない(笑)インストール出来ないんです。

それで効果を算出しているもんだから、予定している効果は出ませんよね。

原因2 ライセンスの扱いを忘れていた

RPAのライセンス費用は計算されていました。計算できていなかったのは、使っているアプリのライセンス費用

OfficeやAdobe、中には高額SAPやsalesforceなどがありますが、計算に入ってない。経験不足でした。

サーバはAWSを使ってますが、これは計算に入ってた。あたりまえだけど。

結果、ランニングコストは想定よりも高くなってます。

原因3 シナリオ開発者の募集を適当にやってしまった

どういうことかと言うと、「シナリオは現場が開発するべきだ」、という方針で進めていて、それ自体は間違ったことでもないのですが、現場から開発者を募集する際、募集の目的や役割を説明していませんでした。

なので社外の操作研修を受けるため現場から開発担当者を募集しましたが、研修に参加した半分以上の人は、「RPAてなに?」「上から言われたから来た」という目的が知らされていない人達でした。

結果、本運用になっている今も、シナリオ開発が出来ない人が半数以上。

さらに、現場の選定に偏りがありました。研修を受けていない部署が40パーセント位ありました。

要はPMが声を掛けやすいところにだけ掛けて進めてしまったこと。

今は、研修を受けていない部署は開発が出来ない状態で、効果も出せません。

操作講習会
操作講習会

結果的には、費用対効果は予想を大きく下回る

原因が原因ですからね、そりゃそうだという感じですよね。

ランニングコストは想定より増えていて、適用範囲が限定的で効果が出せない。

それを経営陣向けの資料では、「少し遅れているけど効果は順調です」と報告しているので、さらに間違った判断が下される悪循環になってます。

毎月、報告会議資料の確認依頼が私のところに来ますが、「効果に関しては、RPAの知識不足により範囲を見誤った。現在想定できる効果はこれくらいで、進捗率はこれくらいで具体策はコレです。」という内容にしたいと進言していますが、受け入れられていません。

もともとの適用範囲には、RPAでは出来ないこともリストアップされているので、いつまで経っても100パーセントにはならないですね。それはそれで事実なので仕方ないですが、その後の検討で適用範囲を現実レベルに絞り込んだのでそれを報告したいと考えました。

結果を恐れない
結果を恐れない

現在 本運用と活用推進、定着化に取り組み中

うちの会社は降格という制度がないので、また次のPJでも同じようなことを繰り返します。このPJだけではないけど、転職しようかなと思った理由の1つなのは間違い無いですね。

あくまでも、「自分が正しい」という前提での話ですので、会社の考え方とずれていると言えばそれまでで、私が間違っている可能性もありますね。

「私は出来るだけ挽回しますよ。」と。上司にの失敗を挽回しても評価されるわけではありませんが、言っても、結構高額なシステムだし良い経験だと考えています。 見返りを求めたら負けです。会社のお金で自分のスキルアップができるなんて幸せなこと。

RPA導入立て直し計画

とりあえず、サーバ周りはAWSで構築されていたので環境を整えてましたが、まだ管理マニュアル等ができていない。私だけが管理できても属人化状態ですので、仕事してはドキュメント化までする必要があるので、もう少し。

運用に関しては、業務手順の整備やガイドライン策定、現場への説明などを行なって、研修を受けた現場では開発ができるようになり、各自で開発したシナリオは私が確認する様にしてます。シナリオは台帳化して管理を行いました。
他社の失敗事例を見ると、野良システムやセキュリティで失敗している例を見かけるためです。

現場研修に関しては、研修できる環境が無いところが課題として残ってます。

適用範囲の拡大も考えています。もう、保守やライセンス等のランニングコストは決まっていますが、ROIを考えると「範囲を広げて効果を伸ばすか」「システムの規模を縮小するか」の2択です。
恐らく、経営陣、PMの立場上、「規模の縮小」はメンツもあり考えていないでしょう。
ということは、「範囲を広げる」ということを考える必要があります。

ここまで、ベンダーさんからはよく立て直しましたね、とお褒めの言葉を頂けるくらいには出来ているようです。いろいろ失敗事例は見ているとのことで、当社はうまく行っているほうですよ、と。

褒められても、納得いかないRPA導入

うちの会社の場合、導入自体が目的になっていて、効果は測定しているものの、私が考えるRPAの活用とは違っています。

何でもかんでもRPAと言う風潮が社内で出てきていて、「ホントはそれはちがうんだよ」と言う使い方も増えてきています。

しかし、費用対効果を出す必要があるため、なんでもかんでもRPA化して、効果に計上します。

私の考えでは、システムに蓄積されているデータは、他のシステムと連携したり形を変えることで有益な情報になると考えていて、それが最近は世の中の動きが早いためスピードが重要になっています。

本来、データを有機的につないでいきたいのですが、RPAではそれが難しいです。例えば手書きからデジタル化などはRPAは使えますし、連携できないシステムでもRPAは活躍します。そういうところにはRPAの導入効果は高いです。

しかし、例えば受注管理システムに入っている毎日の売り上げを、数日後にRPAでレポート出力してメールで送信している。いくつもある。こういうのは受注管理システム内のデータをBIなどでリアルタイムに見れるようにしましょうよ、という話です。

当社は、RPAでデータをつないだことで、本来のデータ連携の着手は遅れることでしょう。経営的に同じ部分に費用は出せないと言われると思います。そして情報を活用しきれない状態となり、他社に後れを取る可能性もあります。

導入当初からPJにアサインされていれば、少しは変わったと思うのですが、こういう意見を上司にも言うため、煙たかったんだろうな、と思ってます。他のPJで多忙だったため、という理由でアサインされていませんが、結局うまく行かずに途中から投入されるのはきついものがありますね。

社内のリソースが全然足りていないというのもありますが、それは別の機会で。

これからやるべきこと

私がやるべきことは、効果は出すしかない。その上で、将来あるべき姿に軌道修正することです。

効果を出すRPA
効果を出すRPA

もし、これから導入される企業の方は同じような失敗をしないことを祈ってます。そのために、この失敗(するかも知れない)情報を公開しようと思いました。

導入済みの企業の方は、適用範囲を一度考えてみてはいかがでしょうか。

本当にそれはRPAで繋ぐのがベストな方法なのか

(注:社内情報ですので、一部伏せていたり加工したりしているところはあります。)

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