アマゾンの森林破壊
ブラジルのアマゾン熱帯雨林がここ11年で最悪のペースで破壊されていることが18日、政府の調べで分かった。2018年8月~2019年7月の消失面積は青森県に匹敵する9762平方キロ(暫定値)に達した。森林伐採や焼き畑が主原因とみられる。
国立宇宙研究所(INPE)によると、アマゾン盆地に位置する「法定アマゾン」9州で1年間に失われた森林は、前の1年より約3割増加。2007年8月~2008年7月(1万2911平方キロ)の後では最悪となった。
【サンパウロ時事】
アマゾンの熱帯雨林
アマゾンの面積は約550万平方kmで、地球上の熱帯雨林の約50%がアマゾンにあります。
アマゾンにはアマゾン川とアマゾン川に流れ込む1,000以上の支流による豊かな水域があり、森と川の恵みがもたらされています。
アマゾンの森は多種多様な生き物が生息しており、アマゾンでは大型哺乳類の種類も個体数も少ないのが特徴で、アマゾンでしか見られない固有種も多く存在しています。
地球の肺(lungs of the Earth)
アマゾンの熱帯雨林は、膨大な面積の木が二酸化炭素を利用して光合成をおこない地球の大気中の酸素の約16%を供給していると言われており、「地球の肺」を呼ばれています。
しかし、一説によると熱帯雨林の木は、古くで酸素生産効率の悪い巨大に育った木が多く、さらに土壌の微生物が酸素を消費することを考慮すると、酸素と二酸化炭素の生産と放出はバランスが取れていると言われています。
オックスフォード大学環境変動研究所のヤドビンダー・マルヒ教授の試算では、アマゾン熱帯雨林は陸上で生産される酸素の16%を生産し、同じ量の酸素を消費していると報告しています。
熱帯雨林の破壊の歴史
ブラジルでは1940年代からアマゾンの開発計画が始まり、調査探検隊が調査を開始しました。
1960年代から、道路の建設のため森林が伐採され、価値のある木材は流通していくことになります。
さらに伐採された土地は農地となり、肉牛の放牧牧場となりました。
1990年代以降は、大豆栽培が盛んになり輸出されていくようになりますが、この大豆栽培の成功により大規模農業開発が進むことになりました。
面積の15%が消失したアマゾン
1988年から人工衛星により「アマゾン森林伐採衛星監視プロジェクト」が実施され、2018年までに消失率は8.4%であることが報告されています。
アマゾン地域の森林面積推移
アマゾン基金のデータによると下記の通りです、
年 | 森林面積(平方km) | 減少面積(平方km) |
1970 | 4,100,000 | 0 |
1977 | 3,955,870 | 21,130 |
1978 | 3,934,740 | 21,130 |
1979 | 3,913,610 | 21,130 |
1980 | 3,892,480 | 21,130 |
1981 | 3,871,350 | 21,130 |
1982 | 3,850,220 | 21,130 |
1983 | 3,829,090 | 21,130 |
1984 | 3,807,960 | 21,130 |
1985 | 3,786,830 | 21,130 |
1986 | 3,765,700 | 21,130 |
1987 | 3,744,570 | 21,130 |
1988 | 3,723,520 | 21,050 |
1989 | 3,705,750 | 17,770 |
1990 | 3,692,020 | 13,730 |
1991 | 3,680,990 | 11,030 |
1992 | 3,667,204 | 13,786 |
1993 | 3,652,308 | 14,896 |
1994 | 3,637,412 | 14,896 |
1995 | 3,608,353 | 29,059 |
1996 | 3,590,192 | 18,161 |
1997 | 3,576,965 | 13,227 |
1998 | 3,559,582 | 17,383 |
1999 | 3,542,323 | 17,259 |
2000 | 3,524,097 | 18,226 |
2001 | 3,505,932 | 18,165 |
2002 | 3,484,727 | 21,205 |
2003 | 3,459,576 | 25,151 |
2004 | 3,432,147 | 27,429 |
2005 | 3,413,354 | 18,793 |
2006 | 3,400,254 | 13,100 |
2007 | 3,388,603 | 11,651 |
2008 | 3,375,692 | 12,911 |
2009 | 3,368,228 | 7,464 |
2010 | 3,361,228 | 7,000 |
2011 | 3,354,810 | 6,418 |
2012 | 3,350,239 | 4,571 |
2013 | 3,344,348 | 5,891 |
2014 | 3,339,336 | 5,012 |
2015 | 3,333,129 | 6,207 |
2016 | 3,325,236 | 7,893 |
2017 | 3,318,289 | 6,947 |
2018 | 3,310,389 | 7,900 ※(9,762) |
※カッコはニュースの数値です。
今回のニュースでは
2008年に12,911平方kmもの森林が消失している事実がありますが、その後10年以上にわたり、10,000平方km以下という結果になっています。
まず、アマゾン基金が出しているデータをギャップがあるのは、暫定値ということもありますが、アマゾン基金の集計期間との違いもあるかも知れません。2008年はあってますが。。
今回のニュースで10年というちょうど良い区切りで見たから、ニュースでは「最悪」という表現になっているのでしょうか?
2009年以降の森林の消失面積が増えているのもデータ的に事実ですが、 少し悪意のある表現とも取れますね。