技術系と言ってもIT系ではない技術系サービス業でBtoBの企業に在籍しています。
そういう企業でもITは欠かせない存在になっていて、ITを担当する情シス部門も会社には欠かせない存在になっています。
しかし、意外に知られてないその仕事内容や働く環境、そしてこれからの時代に求められる仕事など、情シスの基礎から現状、これからをわかりやすく解説します。
改めて情シスとは
情シスとは「情報システム」の略。情報システムをつかさどる部門が「情報システム部」です。
「情報システム部」という名称は企業によって、担当する業務や役割、期待によって違うと思いますが、基本的な業務は変わりません。
「情報システム部」を聞いたことがある人も多いと思いますが、さてその仕事内容は?
実は従業員に聞いてみても、「情シスって何やってるかわからない」という言葉をよく聞くので、おそらくこのページを見ている方も同じように思って検索していただいた方もいるかも知れませんね。
5つある情シスの基本業務
業務① ヘルプデスク業務
ヘルプデスク業務は、おそらく従業員の方と一番接点がある業務のため、PCやアプリで困ったときの相談窓口というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
そのイメージの通り、情シスの業務ではヘルプデスク業務は重要な業務の1つです。従業員の生の声が聞けることから、社内の課題、アプリの課題などを知ることが出来るためです。
問い合わせに内容としては、「PCが壊れた」という物理的な相談もあれば「アプリの使い方が分からない」「想定と動きが違う」「こういう機能はないか」などと、社内マニュアルを準備していても問い合わせは無くなることはありません。
私が考える情シスの1つの役割として
従業員の業務効率の向上
があると考えています。そのためにマニュアルを準備したり説明会を実施したり、都度の対応に時間をかけています。
そういう意味では、情シスから見る顧客は従業員であると言えますね。
業務② セキュリティ対策業務
昨今、インターネットの普及により利用者が多くなっていると同時に、悪用する人たちも増え、ITリテラシーの低い利用者の脆弱な部分を攻撃してきます。
また便利になっているということは、そこに価値がある情報もあるということで、攻撃者はその価値あるものを狙って攻撃をしてきます。
そういう攻撃から会社のネットワークや情報を守っているのが情シスの業務の1つです。
逆に、社内からの情報漏えいがニュースで流れていることもありご存知の方も多いかと思いますが、内部でのセキュリティ対策を考えているのも情シスの業務になります。
こういう社内外のセキュリティ対策として、社内規定の整備や定期的なリテラシー教育、インシデント管理など従業員には見えないところで、見えない敵と戦っているのが情シスです。
業務③ インフラ保守業務
ITベンダーでない場合、情シスはコストセンターになっていることが多いと思います。
皆さんの生活では、電気・水道・ガスなどの生活インフラと言われるあって当たり前のもの。最近ではスマホを含む通信などもあって当たり前の存在になっているかと思います。
企業も同様で、ネットワークインフラという社内のネットワークの維持運用をしているのが情シスです。
普段はPCの電源を入れれば社内のサーバにつながり業務に必要な情報などを見ることが出来ます。
しかし、ネットワークが停止していたりすると業務に支障がでて最悪の場合、経営にも影響を与えてしまうということがあります。
困ったとき以外は気になることがないインフラ。
「情シス何やってるの?」の見えない業務の1つは確実にインフラ保守業務ですね。
業務④ システム運用業務
社内にはインフラ以外にも企業活動にとってなくてはならないものがあります。
それはシステムです。アプリケーションとも言います。
営業のシステム、現場のシステム、経理のシステム、人事のシステム、社内にはいくつものシステムが存在します。
当社では1000人以上の規模で拠点は国内だけで10拠点くらいですが、システムとしては小さなものも含めると100システム近くあります。
現場のシステムは現場で管理していたため、情シスからは見えないシステムでした。いわゆるローカルのシャドーシステム。野良システム。いろいろ言い方はあるかと思いますが、管理が出来ていないシステムです。
現在では、システムの調査洗い出しを行い、40システムくらいを情シスで管理することになりました。
システムの運用は、そのシステムのヘルプデスクや操作説明などは業務①で説明した通りですが、それ以外にも問い合わせで解決できない場合は、保守ベンダーやメーカーへのエスカレーション、課題管理、機能追加検討、保守契約、など広い範囲にわたり業務を行っています。
業務⑤ 企画、検討業務
近年、ITを活用することが事業発展には欠かせないものであり、経営層からもITの期待値は大きくなっています。
当社の場合は、経営層がITの知識に乏しいため、世間の流行りものに食いつく傾向がありますが、それだけ「ITの活用は経営にとっても重要そうだ」と理解しているのだと思います。
ただシステムを入れれば効果が出ると思っているところは大問題ですが。
情シスでは、経営層からの指示、現場からのニーズ、世間の流れ、新しい技術なと様々な情報から社内に適したシステムを導入し、活用できるように現場に落とし込むという「企画・検討」も情シスの業務の1つです。
業務①~④は守りのITとも言われることがありますが、企画・検討は攻めのITと言われ情シスの中では面白い業務に位置づけられると思います。
いかにITシステムを使って企業のポテンシャルを最高に高めることができるか、を考えています。
守りの業務はもちろん重要です。止まることで企業活動が停止する可能性もあります。守りの業務は大前提として、攻めの業務「企画・検討」が強い企業が今後生き残ると言われていますね。
情シスのやりがいは?
このページをご覧になっている方の中には、情シスに配属される方、転職する方、同職種の方などいるかと思いますので、「情シスでの仕事のやりがい」を、ご紹介したいと思います。
頼られる喜びを得ることができる
ヘルプデスクやシステムの運用、企画などでは、問い合わせや相談が毎日数多く寄せられます。
従業員の「困った」を解決するという業務が多いため、感謝されることが多いです。
情シス部員の中には、「問い合わせ対応が面倒だ」と言う方もいますが、従業員との接点になるため情シス業務の根幹になっていると考えています。
逆にトラブル等では文句を言われることはありますが、多くはシステムなどに対する文句で、人に対する文句ではありません。個人で気にすることはありません。
私の場合、もともと現場出身ということもあり、問い合わせを多く受けています。担当外の部分でも相談されることも多く「困ったときのドラえもん」のポジションを担当しています。
普段から丁寧に接していることで、新システムの導入なども他の部員が担当するより現場の協力が得られやすくスムーズに導入できるため、上位者からの評価も高くなっているようです。今のところ良い環境を維持しています。
企業活動を客観的に見ることが出来る
システムの導入においては、背景や経緯、業務の詳細、目指すべき形など知ることが出来ます。総務、経理、人事、開発、営業、現場などいろいろな情報を入手することが出来ます。
「この部署の業務が、こっちの部署のここに関係していて~」とか業務の流れが見えてくるようになります。
普通は自分の部署の中の業務しか知らないことが多いと思いますが、情シスは各部署とのかかわりが多いため、全体的に見える唯一の部署が情シスで、恐らく経営層の方も把握していないと思います。
情シスでも担当する業務によるとは思いますが、情シスにいるなら是非この視点を持って業務を担当してみてください。
企業に属している場合でも、起業して独立した場合でも非常に有用であり、今後の社会人生活を送るうえで成長の糧になるはずです。
新しい知識・技術を知ることが出来る
IT技術が世の中に変化を与えていることは間違いありません。今後もしばらく続くでしょう。
情シスとしても企業において使える技術などは調査し導入する必要があるため、必然的に情報収集を行うことになります。
自分の担当する分野ではアンテナが張られているので情報を拾いやすくなっている状態でもあります。
そこから特定の技術に対して理解を深めるためにセミナーに参加して見たり勉強してみたり、IT系の方は結構自分の意志でやられている方が多い感じがします。
他の分野より動きが早いこともありますが、変化に対応できる柔軟な方が多いのかも知れません。変化を受け入れるための準備というか。
これが他の分野ですと、既存の業務フローにこだわり変化を望まない方も数多くいて、新しい技術は拒否するということもあります。
これからの時代は変化の時代と言われていますが、企業を変化させる側の情シスは重要なポジションであり、やりがいもここにあるかと思います。