この問題はイルカに限らない!
<滋養がたっぷり必要な子どもに、体内でいちばん強い毒を出してしまう母親という痛烈な自然の皮肉>
小型のイルカ、ネズミイルカの体内にあるポリ塩化ビフェニル(PCB)を調べた研究で、ネズミイルカの子どもの体内にあるPCBは、母親の体内にあるPCBより毒性が強いことがわかった。これは、母親の解毒メカニズムが無意識にいちばん強い毒を母乳と一緒に体外に排出しようとするせいだと、主執筆者の英ブルネル大学のロージー・ウィリアムスはいう。
PCBは1920年代に登場し、電気製品や塗料などに使われた。1980年前後に世界中に禁止されたが、環境中からは今も消えることなく、野生動物を傷つけ続けている。
廃水と共に海に流れ込んだPCBは、海の食物連鎖に入り込む。PCBを摂り込んだ小魚をより大きい魚が食べ、その魚をイルカが食べるといった具合に食物連鎖の上にいけばいくほど、PCBの濃度は高くなる。そしてネズミイルカでは、それが母乳を通じて子に受け継がれている。
その毒は、イルカの神経発達を阻害し、免疫や繁殖に悪影響を及ぼしかねない。
一方、PCB濃度が生涯で最も高くなるのはオスだ。メスと違い、子どもに毒を押し付けることができないからだ。
「悲劇的な皮肉だ」、とウィリアムズは言う。環境中のPCBは徐々に減り始めているが、動物への悪影響はまだ続く。
Newsweek
海にはイルカ以外にたくさんの生物が住んでいます。
イルカの体内にあるということは、他の魚でもあると考えるのが普通ですね。
人間の場合も同じ
私は環境分析や環境ホルモンの調査を行っていましたが、PCBだけに限らず動物の体内に蓄積されていく物質がたくさんあります。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)というとあまりピンとこないかと思いますが、では「ダイオキシン」って聞いたらどうでしょう?
え!?体に悪そう~というイメージではないでしょうか?
「環境ホルモン」って聞いたことはあるでしょうか?
ダイオキシンもポリ塩化ビフェニル(PCB)も環境ホルモンの仲間で、人体に悪影響を及ぼすことで、管理されている物質です。
影響は食事にも
イルカに限らず、魚が環境汚染によってPCBなどの毒性が強い物質が魚の体内に蓄積されます。
日本人は特に魚を食べる文化ですが、 毒性物質を含んだ魚を人間が食べると、人間に毒性物質がうつります。
この記事ではイルカの母乳から子イルカにうつる危険を伝えていますが、それは人間でも同じです。
お母さんの母乳から子にうつる可能性があります。
元を辿っていけば、魚を食べたお母さん、お母さんから母乳、母乳から赤ちゃん。
たばこやお酒、薬など、妊娠中や受注中のお母さんは赤ちゃんに影響を与えやすいため気を付けるように、いろいろなところで記載を見かけるのはそういうことですね。
なぜ母乳に?
人間から排出されるのもはたくさんありますよね。
ダイオキシンやPCBは、脂溶性なので水に溶けにくく油に溶けやすい性質を持っています。
人間の体はほとんどが水分なので、体内の脂肪中に蓄積されていきます。その脂肪から母乳中に分泌されるため、最終的には母乳中に蓄積されてます。
その母乳が赤ちゃんに。
でも母乳は大事
気になるような記事になってしまっていますが、最近の研究の結果では、母乳に環境ホルモンが蓄積されていることは、調査データから明らか。
しかし母乳に含まれる栄養分が、環境ホルモンの影響を超えるくらい赤ちゃんには重要であるという結論も出ています。
赤ちゃんの成長や免疫に、母乳は欠かせないということです。
まとめ
人間が排出するゴミや化学物質から、海が汚染され、魚が汚染され、人間まで汚染されていきます。
今は影響はあまりない範囲なのかも知れませんが、環境ホルモンは分解しにくいので、子、孫など何世代もあとには体に影響が出て来る量に達してしまうかも知れません。
なので、今、我々は環境問題に向き合わないといけないですね。