二酸化炭素(CO2)の30万トン圧入達成

日本CCS調査株式会社のプレスリリースがありました。プレスリリースによると、北海道苫小牧市におけるCCS(二酸化炭素の分離・回収、貯留)実証試験事業において、目標値である二酸化炭素(CO2)の圧入30万トンを11月22日に達成したとのことです。

苫小牧におけるCCS大規模実証プロジェクト「二酸化炭素(CO2)の30万トン圧入達成」

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苫小牧におけるCCS大規模実証試験

経済産業省の公募、「平成24年度二酸化炭素削減技術実証試験事業」として2012年から実証実験が始まり、2020年頃のCCS技術の実用化を目指して取り組まれています。

2016年4月より苫小牧沖海底下への圧入を開始し、2019年11月22日に30万トンの圧入が完了しました。

これで一旦、圧入は停止されます。

目的は温暖化防止ではない。

プロジェクトの目的

二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術は、二酸化炭素(以下、「CO2」と称する)の大気中 への排出量を削減する技術としてその効果が期待されており、技術的には地下の掘削技術、CO 2分離・回収技術および地下へのCO2圧入技術など石油開発や化学プラントなどで培われた技 術が応用できる。しかしながら、個別の技術を組み合わせたトータルシステムとしての技術の検 証は不可欠であり、この点において世界各国で実証試験の計画が進んでいるところである。 今般の大規模実証試験は、これらの技術開発の成果もふまえ、実用化レベルに近い100万ト ン/年を見据えることのできる規模として 10 万トン/年以上の規模でCO2の圧入を行い、トー タルシステムとしてCCS技術の実用化レベルでの検証を行うことを目的としている。「平成2 4年度二酸化炭素削減技術実証試験事業(国庫債務負担行為に係るもの)」(以下、「本事業」と称 する)は、大規模実証試験の操業準備を整えることを目的として2012年度から2015年度 に実施するのである。すなわち、2016 年度に予定されている実証試験開始に必要な設備やシステ ムを建設、設置するとともに、実証試験を安全に操業できる運用体制を整備し、さらに、社会的 受容の醸成に向けての情報発信を広く、かつ継続的に行うものである。

平成24年度二酸化炭素削減技術実証試験事業

プロジェクトの背景としては、温室効果ガスの削減から地球温暖化を防止することはあると思うのですが、プロジェクト自体の目的としては、技術の確立ととらえることができるかも知れません。

CCSとは

Carbon dioxide Capture and Storage  なので「二酸化炭素を回収して貯蔵する」と訳することが出来ます。

人類は長年にわたり、石炭や石油などの化石燃料を使用して豊かな生活を送ってきましたが、化石燃料を使用することで二酸化炭素が発生し、大気中の二酸化炭素の増加が地球温暖化の原因の1つではないか、と言われています。(諸説あり)

CCSでは、工場などから発生する二酸化炭素を大気に放出前に回収し安定的に貯留する技術となります。

アマゾン熱帯雨林の消失の記事でも書きましたが、大気中の酸素と二酸化炭素のバランスが取れているとしたら、工場などが石炭や石油などの化石燃料を使い二酸化炭素を余分に発生することで、徐々に二酸化炭素の濃度は増えていくことになります。

なので、理屈で言えば二酸化炭素濃度は減る。。と信じたいですね。

環境への影響について

二酸化炭素はもともと化石燃料に含まれていたので、地中に戻しただけ、、、と単純には考えることが出来ず、海水、海洋生物などへの影響については海洋モニタリングが実施されています。

海外では、アメリカ、カナダ、ブラジルなどで100万トンレベルでのCCSプロジェクトがありますが、やはり日本付近では、地震の影響であったり火山の影響であったり、漏洩した場合など二酸化炭素が環境にどういう影響を与えるか?と言う点で心配です。

個人的には、水草を育てている関係もあって、海藻の成長が進むのではないか?と単純に考えましたが、 そうなるとやはり海洋生物、植物への影響が心配になってきます。

二酸化炭素は悪者か?

二酸化炭素は温室効果ガスであることは間違いないですが、温暖化の原因が二酸化炭素である証拠はない状況です。

このプロジェクトの目的は、二酸化炭素を回収して貯蔵する技術の確立としては成功しているかと思いますが、二酸化炭素を回収しても温暖化防止にはなりませんよ、という根本的な問題の解決は出来ていない様に思います。そもそも目的ではありませんので問題はないですが。

プロジェクトはプロジェクトとして完了し、温暖化は二酸化炭素が原因だ!と科学的に証明されたときに、このCCSの技術が役に立つことに期待したいと思います。

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