酸性雨とは
酸性雨とは、雨が酸性(pH5.6以下)になって降る現象を言います。
「pH5.6以下」と言うのがポイントになります。
なぜpH5.6以下なのか?
雲の中に水分がありますが、この時点のpHを7の純水と仮定します。
この水分が雨として降ると、大気中の約0.35%の二酸化炭素が雨に溶け込み、pHは約5.6になると言われています。
なので、普通に降る雨のpHは5.6なので、5.6以上は普通の雨。
例えば、pH6.0の雨は酸性ではあるものの酸性雨ではない、酸性雨の定義には当てはまらないということになります。
え?って思いますよね。自然に起こりえるpHの値までは、酸性雨と定義しないということで、納得しないといけないですね。
どのようにして酸性雨になるのか?
雨は通常でpH5.6ですが、そこからどうやって酸性に傾いていくのでしょうか?
・もともとの雨は、pH7.0を基準として、
・二酸化炭素が溶け込んだ普通の雨は、約pH5.6
・火山活動などで発生した硫黄酸化物が溶け込んだ雨は、約pH5.0
ここまでは自然的な要因で酸性に偏る理由です。
さらに人為的は要因で
・自動車や工場からの窒素酸化物や二酸化硫黄が解けて、pH4.x
と言った感じで、酸性雨になっていきます。
地域で差はあるのか?
日本付近の話でいうと、地震大国日本は火山活動が多いことも有名ですよね。
火山活動により大気中に二酸化硫黄(SO2)が拡散したり、東南アジアでの産業活動で発生した汚染物質が、偏西風に乗って日本付近まで届いているため、日本海側では比較的良く酸性雨が観測されています。
なので、地域で酸性雨の偏りがある?というと、「ある」と言うことになります。
また沿岸部の工業地帯付近では、酸性雨になりやすいため野外にある金属製の設備や住宅の設備などが錆び易くなるという話も聞きますが、本当のところは分かりません。
自然の雨でもpH5.6ですし、沿岸部では潮風の影響も多少ありますし、判断は難しいところですよね。
アルカリ雨ってあるの?
通常の雨はpH5.6で、普通の指標で見ると弱酸性です。
酸性雨の定義ではpH5.6以下、例えば人為的要因でpH4.9としましょう。
アルカリ側も同じ条件で考えた場合、pH9.1がアルカリ雨ですが、pH5.6からpH4.9までの変化(0.7)と、pH5.6からpH9.1までの変化(3.5)は5倍相当なので、現実的には起こらないでしょう。
例えば、pH7.0以上(弱アルカリ側)でも、変化量としては、1.4ほどになるため、自然界ではなかなか難しい状況と言えます。
しかし、可能性としては、土壌中の「酸化カルシウム」やコンクリートの舗装道路からのダストに含まれる「炭酸カルシウム」が、大気中の物質と反応して雨に溶け込んだ場合は、アルカリ性を示すことも理屈上はあります。