酸性雨のイメージは、木々が酸性雨にさらされ葉っぱが死に立ち枯れしているようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
しかし調査をしてみると実際は少し違っていました。
酸性雨に直接あたった場合の影響
近年の調査によると、酸性雨に近いpHの水で木を育てても枯れないことが分かっています。
マツを使った実験では、pH3.5以下程度になると葉に変色が見られますが、pH5.0付近では何も変化は起こりません。
現実では、葉についた水滴が蒸発すると水滴が濃縮されpHが下がっていきますが、それでも雨程度では影響はほとんどないと言われています。
また、葉表面を顕微鏡で観察すると、表面のワックス層が酸性雨によって破壊されていくことがわかります。さらに木が生理的な変化を起こすことが分かっています。枯れるまではいかなくても多少は影響はあるということですね。
酸性雨が土壌変化を起こした場合の影響
酸性雨には窒素酸化物などが含まれるので、土壌の窒素が多くなりすぎて栄養バランスを崩してしまったり、植物の成長に欠かせないカルシウムイオンやマグネシウムイオンが溶け出したりします。また、土壌が酸性化することで植物に有害なアルミニウムイオンが溶け出し根っこの働きを阻害します。
緑のペストと言われたヨーロッパでの酸性雨被害では、土壌変化が1つの原因だと言われています。
しかし、日本の土壌はヨーロッパと比較すると酸性雨を中和する力が強いと言われているため、実際にはあまり目立った被害が出ていない状況です。
では森林が枯れるのは何が理由か?
主な理由は酸性雨と同じで、窒素酸化物や硫黄酸化物、光化学オキシダントなどの大気汚染物質が影響していると言われています。
植物は空気を浄化していますが、浄化しているということは体内に汚染物質が蓄積していくということになります。
土壌の変化だったり汚染物質の蓄積だったり、酸性雨の直接的な原因ではなく、いろいろな要因で森林は枯れていきます。